DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2024年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  準プレーオフ : ネクセン−LG 展望

 
 ネクセンは2013年以降4年連続ポストシーズン進出とチームの経験値も高く、キアとのワイルドカード決定戦での2試合の激闘で疲弊しながらも中1日で準プレーオフを戦うことになったLGとではコンディションに大きな差があり、ネクセンの優位は揺るがないように見える。しかしながら、ネクセンは相手打線を圧倒する強力な先発投手を擁していないため、LGにも少なからず勝機はあるとみる。

 ネクセンのチーム最多勝は2016年シーズンにプロ初勝利を挙げると先発ローテーションを守り続け15勝を記録したシン・ジェヨンだが、ポストシーズンの経験はなく7月以降は5勝どまりと明らかに調子を落としている。2012年から2015年までネクセンに在籍し、2016年シーズンに移籍した日本プロ野球埼玉西武を7月に退団しネクセンへ復帰した外国人左腕バンヘッケンは6勝をあげたが、状態が悪く第1戦の先発を回避した。そのため第1戦はシーズン途中の6月に入団し6勝を記録した外国人右腕マクレガーが先発するが、7回までは計算できるものの低い点数に抑えられるわけではない。その他の先発候補としてはパク・チュヒョンなどがあげられるがポストシーズンの短期決戦で自信をもって送り出せる先発投手を欠いている。
 ネクセンはその反面リリーフが充実している。抑えに転向し36セーブで自身初の最多セーブに輝いたキム・セヒョンにつなぐため、最多ホールド(25)のイ・ボグン、21ホールドのキム・サンス、12ホールドのマ・ジョンギルの中継ぎ陣が奮闘した。だが全員右であり、信頼できる左のリリーフがオ・ジュウォンしかいないのは、パク・ヨンテク、オ・ジファンなど打線の中軸に左がいるLG相手では不安が残る。
 ネクセン打線は2015年までの木洞野球場時代の一発攻勢から、カン・ジョンホ、パク・ピョンホの主力打者がメジャーリーグベースボールMLB)に移籍したため、盗塁も多いつながりを重視した打線に変わっていった。ソ・ゴンチャン、コ・ジョンウクの左打者2人が1,2番としてチャンスを作り、イ・テックン、ユン・ソンミン、キム・ミンソン、キム・ハソンなどの中軸がチームバッティングで着実に走者を返すパターンができている。また下位にもチェ・テイン、正捕手パク・トンウォン、外国人打者ダニー・ドーンなど力のある打者がいて切れ目のない打線が構成されている。

 広い蚕室野球場を本拠地とするLG打線もネクセン打線と同じようにつながりを重視しているが、26本塁打・102打点の外国人打者ヒメネス、自身初の20本塁打を記録したオ・ジファン、2000安打を達成したパク・ヨンテク、チョン・ソンフンの両ベテランと、一振りで試合を決められるタイプの選手たちが目立つ。最近は外野での起用が中心だったユーティリティープレイヤーのキム・ヨンウィ、2016年に台頭したチェ・ウンソン、イ・チョヌンなどの野手たちは日替わりで起用され、全体として打順は固定されない傾向がある。
 LGはシーズン終盤に調子を上げ4位に入ったが、その立役者となった外国人投手ハフ、リュ・ジェグクはそれぞれ10日、11日のワイルドカード決定戦で先発したため、準プレーオフでは16日の第3戦以降にしか先発としての起用が難しいと思われる。第1戦、2戦を落としてしまうと一気に苦しくなるため、当然のごとく第1戦に先発する外国人投手ソーサへの負担は大きい。第2戦は経験が豊富なウ・ギュミンの先発が予想されるが、不調なのが気がかりである。リリーフは左のチン・ヘス、ユン・ジウン、右のキム・ジヨン、シン・スンヒョンが中継ぎで、守護神イム・ジョンウへとつなぐ継投が確立されている。


 ともに打線の一発による破壊力はあまりないが、先発投手陣に不安があるため互いに連打が続いて大量得点が入る乱打戦が予想される。しかしワイルドカード決定戦:キア−LGのような先発投手による終盤までの緊迫した投げ合いにも期待したい。