DAILY KOREAN PRO BASEBALL 2

1982年に発足し、2020年時点で10球団が加盟する韓国野球委員会(KBO)による韓国のプロ野球リーグ(通称KBOリーグ)に関するブログ。レギュラーシーズン、ポストシーズン(韓国シリーズなど)の試合速報や球団別の情報、現役プロ選手が含まれる野球韓国代表が出場する国際大会の情報などもお伝えします。 twitter : @kbodigest

  2009年韓国シリーズ : キア−SK

 開幕前誰がこの快進撃を予想しただろうか。近年低迷が続いていたチームに奇跡が起きた。
 
 過去2年間シーズンを通して戦力にならなかった外国人投手が2人とも大活躍し、最強の先発陣が形成された。故郷のチームに戻ったが不振が続いていた元メジャーリーガーが大爆発し、開幕当初はいなかった選手が突如その才能を開花させ本塁打、打点の二冠王となり、8球団中最強の4,5番コンビが誕生した。また、引退勧告を受けていたベテラン選手が過去数年で最高のシーズンを送り、チームを牽引し続けた。

 このチームはどこあろう、2009年シーズン、12年ぶりに公式戦優勝を成し遂げたキアタイガースである。2001年ヘテから球団を譲渡されてからは初めての韓国シリーズ出場となり、通算10度目の優勝を狙う。

 キアの長所は二つある。先述したように最強の先発陣と、チェ・ヒィソプ、キム・サンヒョンの2人の大砲が並ぶ中軸打線である。

 キアのチーム防御率は3.92(8球団中2位)と、1位のSK(3.68)より劣るが、公式戦で100イニング以上投げた投手がロペス(14勝)、ガトームソン(13勝)、ヤン・ヒョンジョン(12勝)、ユン・ソンミン(9勝)の4人と先発がそろい、そのまま韓国シリーズでもローテーションを組んでくると思われる。故障明けのユン・ソンミンを除いて7回までは計算できる投手たちである。
 リリーフ陣はSKより層が厚くなく左腕不足だが、アンダースローのソン・ヨンミン、先発での登板も可能なクァク・チョンチョル、復調気味のかつての守護神ハン・ギジュ、元メジャーリーガーのソ・ジェウンなどタレントはそろっている。また、シーズン後半8球団の守護神で最も安定感のあったサイドスローのユ・ドンフンが9回のマウンドに立てば、キアの勝利はまず間違いがない。また、投手陣で唯一12年前の韓国シリーズに出場したかつてのエース、イ・デジンが投手陣の精神的支柱となる。また長年チームの正捕手をつとめてきたキム・サンフンのリードにも注目したい。

 一方打線であるが、チーム打率は.267と8球団中最下位だった。しかしチーム得点(706)、本塁打(156本)はともに3位と、決して貧打線ではなかった。チームの得点圏打率は.278と比較的高く、チャンスに強い打者が比較的多かった。本塁打(36本)、打点(127)の二冠王となった右のキム・サンヒョンはなんと4割を超え、そして満塁本塁打は4本と、チーム全体でも満塁での打率は.353と異常に高い。また元メジャーリーガーとしての本領をようやく発揮し33本塁打、100打点を記録した左のチェ・ヒィソプも、勝負強く相手投手陣の脅威となっていた。SK投手陣はこの左右の大砲2人を徹底的にマークしてくることは確実で、その時は他の打者たちの働きが肝要だ。
 キム・サンヒョン、チェ・ヒィソプ以外に長打を期待できるのは、2009年シーズン主力に成長した大卒2年目の若手ナ・ジワンである。23本塁打、72打点という結果を残したが、好不調の波も大きく大舞台での活躍という点ではまだ疑問符がつく。得点パターンとしては上位を打つイ・ヨンギュ、キム・ウォンソプなどの俊足の打者が出塁し、これをキム・サンヒョン、チェ・ヒィソプ、ナ・ジワンの中軸が返す形が理想で、あまり下位打線での得点は期待できない。そのため引退勧告を拒否し現役を続行した39歳のチームの顔イ・ジョンボム(元中日)が、1990年代チームを3度の韓国シリーズ優勝に導いた経験で、精神的支柱として攻守ともにチームを引っ張っていくとさらに活気付く。    
 
 過去のポストシーズンでの両チームの対戦は、2003年プレーオフの1度だけである。この時はキアが公式戦2位だったにもかかわらず、準プレーオフを勝ち抜いた同4位のSKに3連敗するまさかの展開で、韓国シリーズ出場を逃した。キアになってからはヘテ時代のポストシーズンでの強さは失われ、過去4度の出場で3勝10敗と負け越してしまっていて、次の段階へと進出したことがいまだにない。過去9度の韓国シリーズ出場でいずれも優勝しているヘテのような勝負強さを、今度こそ見せることができるであろうか。14日までプレーオフを戦っていたSKと比べて、キアが9月25日の公式戦最終戦以降、20日ほど実戦から遠ざかっていることを不安視する見方もある。

 一方ヘテ以来2チーム目の韓国シリーズ3連覇を狙うSKは、プレーオフでトゥサンに2連敗し追い込まれながら3連勝と勢いに乗っている。また2位に終わった公式戦では、終盤引き分け1つをはさんで19連勝で終え、8月首位に立って快進撃を続けていたキアの独走態勢に待ったをかけたがあと1勝及ばなかった。名将キム・ソングン監督率いる投打ともに高い完成度を誇る隙のない野球は健在で、プレーオフではキム・グァンヒョン、ソン・ウンボム、チョン・ビョンドゥの主力投手3人が欠けていても、選手層の厚さと的確な選手起用でしのいだ。 
 韓国シリーズでは予想以上に回復が早いとのことで、ソン・ウンボムが出場することになり、これでグローバー(元読売)、門倉(元読売)、チェ・ビョンニョンと先発4人がそろい、投手事情はだいぶ好転したがキアほど状態がよいとは言えない。それをカバーするための小刻みな継投も、プレーオフ同様見られるであろう。打線ではプレーオフMVPで絶好調のパク・チョングォンが、どれだけキアの強力投手陣を打ち崩せるかが注目されるが、上位から下位まで満遍なく長打も盗塁もある隙のない打線の迫力は、中軸頼みのキアを大きく上回っている。

 2002年以降2008年まで韓国シリーズは公式戦優勝チームが、戦力差のある2位以下のチームを韓国シリーズに迎え、その強さを見せつけ7年連続で優勝してきた。しかし今回の対戦は近年になく両チームの実力差が少なく、経験や選手層で上回るSK有利という声も聞かれる。だがキアのチョ・ボムヒョン監督は2006年までSKの監督であったため、選手の特徴などをよく把握している。2009年シーズン公式戦での対決は、キアが10勝7敗2分けと勝ち越している。

 史上最高の592万人の観客動員数を記録した2009年シーズンのフィナーレは、韓国プロ野球の歴史と伝統を受け継ぐ過去最高の実績を残したチームと、近年王者として君臨する2チームの対決となった。21世紀最高の白熱した戦いを期待したい。