サムソンとの準プレーオフが第3戦までもつれこみ何とかプレーオフに進出したハンファと、公式戦2位で余裕を持ってプレーオフに臨むトゥサンとの対決となった。またハンファのキム・インシク監督は2006年WBC(ワールドベースボールクラシック)で韓国代表をベスト4に導き、トゥサンのキム・ギョンムン監督は北京五輪韓国代表監督に就任し、新旧韓国代表監督対決にもなっている。ただ、準プレーオフで総力戦となったハンファは疲労がとれず、トゥサンが有利であるという見方が強い。
何と言ってもトゥサンには第1戦の予告先発として登場するエースのリオスがいる。韓国プロ野球史上最高の外国人投手リオスは今季22勝と自己ベストの成績を残し、防御率も2.07と驚異的な数字だ。先発2番手は同じく外国人投手のランデル(12勝、元読売)だが、3番手以降に不安がある。今季米国マイナーリーグから入団したイ・スンハクが後半先発で好投し7勝したが、大舞台での実力は未知数である。高卒新人ながら64試合に登板し7勝をあげた中継ぎの柱イム・テフン、守護神チョン・ジェフン以外のリリーフ陣がやや手薄なのも気がかりだ。
ハンファは準プレーオフでエースのリュ・ヒョンジン(17勝)が第1戦で先発し7回途中まで投げ、第3戦でも3イニング以上のロングリリーフをこなしたため、第1戦の予告先発は先発でもリリーフでも活躍したベテランのチェ・ヨンピルとなった。準プレーオフ第2戦で先発した右のエースのチョン・ミンチョル(12勝)が途中で腰の痛みを訴え降板し、プレーオフでの登板は不透明なままだ。
準プレーオフ第3戦で先発した外国人左腕セドリックは不安定な内容で、このプレーオフでも先発として起用されることが予想されるが、あまり期待はできない。第2戦での先発が予想されるリュ・ヒョンジンの左腕にチームの命運が託されている。リリーフ陣もソン・ジヌ、ムン・ドンファン、ク・デソン(元オリックス)などのベテラン勢に頼るしかない。
打線は長打こそ主砲キム・ドンジュ、チェ・ジュンソク以外期待しにくいが、8球団最多の161盗塁と足を使った攻撃に特徴がある。2006年の盗塁王イ・ジョンウクの47盗塁、攻守ともにチームの要となったコ・ヨンミンの36盗塁と走れる選手が多く、積極的な走塁で得点力をアップさせている(8球団中2位)。ハンファの捕手シン・ギョンヒョンはトゥサンの快足選手たちに盗塁させないリードや守備力が求められてくる。中軸を打つキム・テギュン、イ・ボムホ、クルーズとその他の打者のつながりが悪いハンファに対して、トゥサンは比較的上位から下位までつなぐ野球ができる。
リオスが第1戦と第4戦で順調に勝利すれば、トゥサンががぜん有利になってくる。だがリオスが乱調となり打撃戦となると、ハンファにも勝機が見えてくる。劣勢に立たされているキム・インシク監督の継投を中心とした采配の妙を、トゥサンの若き名将キム・ギョンムン監督がどうかわしていくかが見ものである。ただ、2006年に公式戦2位だった現代が準プレーオフを勝ち抜いたハンファに3勝1敗で敗れるなど、現行の制度で行われた過去16回のポストシーズンでプレーオフから進出できる公式戦2位チームは7度しか韓国シリーズには進出していないため、トゥサンにとっては難しい戦いとなることには変わりがない。
(文責:ふるりん)